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不眠症

夜間の睡眠に異常があり、眠気やめまい、集中力低下や食欲低下などが出現し、昼間の生活に支障が出ている状態が続いている場合を不眠症と言います。タイプとして、入眠障害(寝付けない)、中途覚醒(途中で何度も目が覚める)、早朝覚醒(早朝に目覚めてそこから眠れない)等があります。睡眠時間には個人差があるため時間そのものは問題ではありません。3時間であっても十分と感じている方(ショートスリーパー)、10時間寝ないと調子が悪い方(ロングスリーパー)と様々です。また、年齢とともに必要な睡眠時間は減少していくので若い頃よりも眠れないというのも昼間に問題がなければ不眠症ではありません。また、夜中に何度も目が覚めても昼間の生活に問題がなければ不眠症とは言えません。さらに、旅行前日や旅行先、発表会前日や心配事があるときなどに、一時的に眠れない場合も不眠症とは言えません。

治療

寝る時間や起きる時間をなるべく一定にして、昼寝は遅くとも午後3時までに30分以内にとどめます。夕方に昼寝をすると夜の睡眠に影響しますから控えてください。睡眠時間そのものにはあまりこだわらず、特に前日眠れなかったとしても昼間は活動しましょう。早起きして早朝に光を浴び午後に軽く運動をして自分の好きなことでストレスを発散し、お風呂に入ってリラックスすることが夜の睡眠をもたらしてくれます。お酒は睡眠の質を悪くしますので、ほどほどにしましょう。

生活を整えても眠れない、あるいは生活を整えられない事情があって眠れない、と言うときには薬が必要です。

睡眠薬には、

メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)

オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント、レンボキサント)

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ブロチゾラム、ロルメタゼパム、フルニトラゼパム、等)

の種類があります。

それぞれ一長一短、その方にあうあわないがございます。

メラトニン受容体作用薬(以下ラメルテオン)は、睡眠に関わるホルモンであるメラトニンが作用する受容体に作用して、自然に眠りにつけるようにするお薬になります。睡眠相がずれている方に効果を示します。睡眠相後退症の治療に使用する場合就寝2時間前くらいに内服するのが有効です。 ADHDの方は睡眠相後退症の併存率が高く、ラメルテオンが効くことがあります。オレキシン受容体拮抗薬(以下オレキシン)は依存なく睡眠の質も良いですが、悪夢を見るほど疲れている方には、オレキシンは避けます。オレキシンには、悪夢と持ち越しの副作用があるからです。悪夢には、レム睡眠を抑える薬が向いています。悪夢を増やさず睡眠の質のことも考慮すると、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(以下非ベンゾ)でしょう。非ベンゾは、適切に使えば依存もそれほど心配なく、睡眠の質も良いです。非ベンゾの副作用は健忘になります。特にゾルピデムに多く、夜中に何かを食べてしまっているのに翌朝覚えていないということがあります。非ベンゾのエスゾピクロンとゾピクロンの副作用は苦味になります。ベンゾジアゼピン系睡眠薬(以下ベンゾ)も使い方によっては優秀なお薬で使うべき時に使って、後々睡眠の質を高められる薬に変えていくのが良いです。ベンゾは睡眠の質は悪くしますが、どうしても寝付けないという方には力を発揮します。非ベンゾと違ってω2にも作用するためふらつきや転倒が副作用として出ることがあります。残念ながらベンゾには依存があります。一時的な使用が望ましいです。ベンゾを内服している方は、ゆっくりと他の睡眠薬に移行していきましょう。

睡眠薬は、その方の年齢や症状に合わせて相談しながら処方いたします。

また抗うつ剤の中にも睡眠に向いた薬(トラゾドン、ミアンセリン、ミルタザピン、等)があります。これらもあまり睡眠の質を悪くはしません。ベンゾジアゼピン系抗不安薬(クロチアゼパム、アルプラゾラム、クロナゼパム、等)で眠れる方もおられます。漢方薬(酸棗仁湯、抑肝散、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、加味帰脾湯、等)を眠前に1包内服することで眠れることもあります。

睡眠薬は、悩みや病気が落ち着けば、中止できることが多いです。中止するにはコツがありますので、一緒に減量中止に取り組みましょう。

不眠には認知行動療法も効果があります。

rTMS療法も不眠に効果を示す事が多いです。

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