メニュー

解離性同一性障害(多重人格)

人は誰でもそれぞれの状況に応じて口調や性格を変えて世の中を渡って行っています。小学生であっても親に見せる顔、友達に見せる顔、他人の前での顔、などいくつもの場面で自分を使い分けています。しかし、人格は統一されていて、記憶が分断されることはありません。解離性同一性障害の方は、心の中にいくつもの人格が別れて存在しています。一番長く一番表に出ている人格を主人格、それ以外の人格を副人格と呼びます。時々人格が交代をして表に出てくるので、その間は主人格の意識は分断されて、記憶がない状態となります。患者さんによっては、副人格が主人格の行動を見張っていたりすることがあります。副人格の行動に主人格は覚えがないので、嘘つきと呼ばれたり、勝手な人と思われたりして大変困る状況を作り出します。また副人格が勝手に買い物をしたり、遠くにでかけてしまって、買った覚えのないものが部屋にある、気がついたら知らないところに来ていた、と言うこともあります。小さな頃のトラウマが原因で人格を切り離してしまうことが多く、そのときの小さな子供の人格が心の中で癒やされるのを待っていることが多いです。人格数はなぜか4人という方がとても多く、10人以上の方も数名おられました。解離のしやすさが関係していると推測しています。

 

いまだにこの疾患の存在すら認めず、診断もしない、従って治療もできない精神科医が多いのが現状です。

 

治療

当院では人格の統合を目指しません。それぞれの人格の平穏を目指して精神療法をしていきます。主人格は、副人格たちの言葉を幻聴として聞いていることがあります。副人格同士は交流があることが多かったですが、全く交流なく副人格それぞれが孤独に暮らしていることもありました。主人格は副人格たちと交流がないことが多いので、時期を見極めて主人格に心の中に降りていってもらいます。この事で精神療法が一段と進みます。この病気のご家族の方は、患者さんがこの疾患であることをご家族に告げても、びっくりなさることは少なく、むしろ腑に落ちた、とおっしゃって治療にとても協力的になってくれることが多かったです。解離をしなくても生きていけるとそれぞれの人格が思えるようになり、人格交代が起こらなくなっていき、気がついたら自然に人格が統合されているという順番になります。人格のみなさんで上手に生きていける術を身につけていかれて、統合されずに過ごされていく方もおられます。いずれにしても、それぞれの人格を尊重し、それぞれの人格の平和を維持していくことが重要になります。カウンセリングが主体となりますが、薬物療法も助けとなります。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME